QDOT信託(Qualified Domestic Trust)とは

2015/09/11

無制限の婚姻控除「Unlimited marital deduction」とは

初めに以前の復習になりますが、2015年においては、アメリカの連邦相続税は、$5,430,000を超える資産について課税されます。ですが夫婦の場合は、夫と妻の両方がアメリカ市民である場合、最初に亡くなる配偶者は生存配偶者に対して、いかなる金額の資産を無税で相続させることができます。これを『Unlimited marital deduction(無制限の婚姻控除)』と言います。

 

 

QDOT信託の作成(配偶者の一人がアメリカ市民権を持たない場合)

アメリカにお住まいの方には良くあるケースですが、ご主人がアメリカ市民であり、奥様がアメリカ市民でない場合(注:アメリカの永住権保持者または永住権を持たないアメリカの非居住者は、QDOTを作成するにあたり、アメリカ市民とはみなされません)ご主人の死後に奥様の方が$5,430,000を超える資産を相続された場合、奥様にアメリカの市民権がないばかりに、連邦相続税を支払わなければならなくなります。

ですので、生存配偶者がアメリカ市民権を持たない場合、最初の配偶者の死後、連邦相続税の免除を受けるため QDOT(Qualified Domestic Trust)という信託を作成する選択肢があります。

 

QDOTを作成しますと、通常のトラスト(信託)を作る形になります。最初の配偶者の死後、資産はQDOT信託の中に入れられ、生存配偶者自身には渡りません。生存配偶者の死後トラスト(信託)に入れられた資産は、通常のトラスト(信託)の場合と同様に、トラスト内で指定された受取人(通常の場合は子供)に渡ります。

 

 

QDOTの特徴

QDOTの特徴ですが、最後の受取人(通常の場合は子供)が、トラスト内の資産が生存配偶者が亡くなった時点で$5,430,000を超過していた場合、連邦相続税を支払うことになることです。生存配偶者はQDOT信託を作成したお蔭で連邦相続税の支払いを回避することができますが、その支払いは繰り延べされるだけで、最後のQDOT信託の受取人は、生存配偶者が亡くなった後、$5,430,000を超える資産がトラスト内にあった場合、それに対する連邦相続税を支払う羽目になります。

 

 

QDOTの複雑な規定

QDOTに関しては、IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)が厳しい規定で取り締まっています。例えば、$2,000,000以上の資産をQDOT信託に入れた場合、アメリカの銀行をQDOT信託のTrustee(管財人)に指定しなければならない等の規定があります。また、最初の配偶者が亡くなった際、$5,430,000以上の資産を残した場合、相続税の申告を作成するにあたり、「QDOT」という項目を選択しなければならなく、選択をした場合、それは撤回不能になります。

 

最後に、QDOT信託の作成には多額の資産や複雑な規定等が関わるため、専門家のアドバイスに耳を傾ける必要があります。

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執筆者

本郷法律事務所

本郷 友香 弁護士

ハワイ州とカリフォルニア州、両方の弁護士資格を所有し、信託、遺言書作成、プロベート(検認手続き)等を含むサービスを主に提供する弁護士。過去数年間は日本に在住し、大手米国会計事務所にて法務、会計の分野において、国際的な仕事に携わっていたとともに、多種の文書において豊富な翻訳経験がある。日本語・英語のバイリンガルであり、両言語において、会話と読み書きが堪能。