アメリカ特有の遺産相続方法「トラスト」

日本にはないアメリカ特有の相続方法

アメリカに不動産を所有する人は、アメリカ特有の「トラスト」(信託)を耳にしたことがあることと思う。日本では遺言書による相続しか選択肢がないのに対し、アメリカの場合、トラスト(信託)を作成し、遺族等に遺産を残す選択肢がある。アメリカのトラスト(信託)とは、生前にトラスト文書を作成することにより、所有財産をそのトラストの「箱」の中に入れ、その「箱」の中に入れた財産を、任命された管財人(Trustee)が管理するもの。日米両国にて資産を所有されている人が注意すべき点は、トラストに入れる財産は、アメリカで所有する財産のみに該当するということ。よって、日本において所有する財産をトラストに入れることはできない。

 

トラスト文書を作成することの利点

両方の配偶者が連邦遺産税の免除を受けることが可能になる

2017年においては、$5,490,000の資産額まで連邦の遺産税(注:本記事ではアメリカにおける遺産相続に掛かる税金を遺産税と表記している)の免除が適用される。 ➡資産額が$5,490,000を超えない場合、連邦の遺産税を支払う義務はない。  

 

 

指示通りに財産を分配することができる

トラストを作成していれば、プロベートを回避し、トラストの指示通りに財産を分配することができる。

 

プロベート(検認手続き)を回避でき、時間と費用を節約できる

裁判所のプロベートとは、遺産の分配においての不正行為等を回避するため、裁判所が故人の家族・親族関係を確認するための作業である。アメリカでは日本と同様の戸籍謄本がない為、家族・親族関係を確認する為の作業が必要になり、そのため、プロベートの作業が行われる。ハワイではプロベートの作業に一年以上掛かる場合が多く、その間、親族等への遺産の分配は保留され、プロベートに立ち会ってもらう弁護士も雇用することになり、弁護士費用等も時間が経つにつれ、どんどん追加されることになる。

 

プライバシーを守ることができる

トラストは遺言書と異なり裁判所に提出しないため、その内容は公にされることはない。よって、遺産の内容等を含むプライベートな情報を保護することができる。トラストとは異なり、遺言書は裁判所に届けられ、公にされる為、近所の方にまで遺言書の内容を見られる可能性がある。

 

生前、トラストを修正することができる

Revocable Trust(撤回可能なトラスト)と称される、一般的に良く作成されるトラストを作成すると、生前、財産の配分や管財人等を含むトラストの内容を変更することができる。

 

生命維持装置を外す決断等を、前もって指定することができる

亡くなった後に初めて効力を発揮する遺言書とは異なり、トラストと共に、付随文書(Advance Health Care Directive等を含む幾つかの文書)を作成することによって、植物人間になった際の生命維持装置を外す意志、判断能力を失った場合の代理人の指定等を含む決断を、前もって指定することができる。

 

 

資料提供

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