プロベートを回避するための不動産所有形態等

2015/08/28

本記事では、アメリカにおいての代表的な不動産所有形態を、三種類ご紹介させて頂きます。

 

プロベートを回避できない不動産所有形態
共有不動産権(Tenancy in Common)

まず、プロベートを回避することができない不動産所有形態についてご説明致します。

Tenancy in common(共有不動産権)とは、2人またはそれ以上の所有者が、不動産の所有権を共有する不動産所有形態を指します。不動産所有者がそれぞれ独立した持ち分を所有し、各自の持分比率が均等である必要はありません。(例を挙げますと、3人が同じ物件を共有不動産権の形態において所有する場合、1人目が15%、2人目が15%を所有し、3人目が70%の割合で、不動産を共同で所有することができます。)

 

以下にご説明する合有不動産とは異なり、共有不動産権の場合、共有所有者の1人が死亡した場合でも、生存所有者が死亡者の持分を承継することはできません。その持ち分は、死亡者の相続人に承継されることになります。死亡者が遺言書を作成していた場合、承継される持分はプロベートを通過し、遺言書に指定される相続人に渡ります。遺言書を作成していなかった場合、それぞれの州の法定相続によって、相続人に分配されます。トラストを作成していた場合は、死亡者の持分はプロベートを通過せず、トラスト文書において指定されている受取人へと渡ります。

 

 

プロベートを回避することができる不動産所有形態
合有不動産権(Joint Tenancy)及び連帯不動産権(Tenancy by the Entirety)

プロベートを回避することができる不動産所有形態は主に二種類あり、合有不動産権(Joint Tenancy)と連帯不動産権(Tenancy by the Entirety)を含みます。

 

1)合有不動産権(Joint Tenancy)

合有不動産権とは、2人以上の複数の個人(夫婦を含む)が不動産を所有し、所有者の1人が死亡した場合、残りの生存者に、自動的に不動産の所有権が移転される不動産所有形態を指します。当該移転は、プロベートを通過しません。すべての合有所有者は、不動産に係る権利を平等に持つことになります。(つまり2人で合有不動産権を共有していた場合、1人が亡くなった際、生存合有不動産所有者に所有権の100%が自動的に移転します。3人で合有不動産権を共有している場合、1人が亡くなれば、残存する2人に所有権の100%が移転することになります。)

合有不動産権で所有する不動産には、以下の利点が伴います。

  • プロベートを回避することができる。
  • 所有者の1人の死後、生存所有者への不動産移転の手続きが簡単である。
  • 所有者の1人が個人的に債務を負い、それが合有不動産権の不動産に関係する債務でない場合、他の所有者がその債務に対し、責任を負うことはない。

しかし、以下の不利な点も伴う場合があります。

  • 所有者が亡くなり、最後の生存所有者に不動産が移転された際、合有不動産権は終了することになる。よって、最後の生存所有者が亡くなった場合、その不動産はプロベートを通過することになる。そのため、合有不動産権がなくなった際、トラストを作成する等、プロベートを回避する手段を取る必要がある。
  • 最後に残った生存所有者に不動産が移転された際、不動産の価値が上がっていた場合、元々の取得価額を時価まで増額させてもらうことができなくなり、それを売却した場合、キャピタル・ゲイン税が掛かることになり得ること。

 

2)連帯不動産権-Tenancy by the Entirety

連帯不動産権とはハワイ州において、婚姻届を出している夫婦のみに認められている所有で、夫婦に同等の権利が与えられる所有形態を指します。カリフォルニア州では認められていない形態です。概念は上記合有不動産権と同様であり、一方が死亡した場合には、所有権が自動的に生存者に移転されます。

 

連帯不動産権は、合有不動産権等と比較して、より債権者から所有者を守る機能に優れています。夫婦の片方の個人負債や事業債務を回収する目的で、債権者は、連帯不動産権を差し押えの対象にする、またはその一部を売却することはできません。

 

ごく最近のことですが、最高裁の判決により、米国の全州において、同性愛者の法的な結婚が認可されました。以前は、同性愛の結婚が認められている州においては、同性愛者のご夫婦は、所有不動産を共有不動産権、または合有不動産権のみにおいて、共同所有することができました。しかし、最高裁の判決後、所有不動産を連帯不動産権にて所有することが認められました。そのため、所有不動産をより債権者等から守る機能を果たす連帯不動産権の形態にて、所有権を変更する同性愛者のご夫婦も増えているそうです。

 

 

<最後に>

相続計画を立てるにあたり、上記不動産所有形態を十分検討し、ご自身に合った不動産所有形態をお選びになることが大切です。

この記事に「いいね!」する 

Aloha townnetに「いいね!」する 

執筆者

本郷法律事務所

本郷 友香 弁護士

ハワイ州とカリフォルニア州、両方の弁護士資格を所有し、信託、遺言書作成、プロベート(検認手続き)等を含むサービスを主に提供する弁護士。過去数年間は日本に在住し、大手米国会計事務所にて法務、会計の分野において、国際的な仕事に携わっていたとともに、多種の文書において豊富な翻訳経験がある。日本語・英語のバイリンガルであり、両言語において、会話と読み書きが堪能。