ハワイの不動産譲渡権利書登記システムについて

2015/10/23

ハワイ独自の登記システム

本記事においては、ハワイ特有のGrand Deed(不動産譲渡権利書)を登記する為の、2つの登記機関についてお話させて頂きます。ハワイはアメリカ本土の州とは違い、島であるため、ユニークな登記システムを有しています。それは、Regular System(一般登記システム)とLand Court System(土地登記システム)という、2種類の登記システムを含みます。両システムは、ハワイ州においてただ一つの不動産登記所である、Hawaii Bureau of Conveyancesにおいて、管理されています。

 

殆どの本土の州においては、上記ハワイ州特有のシステムと異なり、Land Court System(土地登記システム)を有している幾つかの本土の州を除きますと、州全体のただ一つの不動産登記所ではなく、各County Recording System(群の登記機関)において、Grant Deed(不動産譲渡権利書)等が登記されます。例を挙げますと、ロサンゼルス市のロサンゼルス郡に不動産を所有していた場合、トラストを作り、個人または夫婦名義等から、トラストの名義に変更する手続きを取る場合には、名義変更をする為のGrant Deed(不動産譲渡権利書)を、ロサンゼルス郡の登記所に提出します。また、殆どの本土の州においては、ハワイ州の様な、Regular System(一般登記システム)とLand Court System(土地登記システム)の2つの登記システムを設けていることはありません。

 

 

Regular System(一般登記システム)

Regular System(一般登記システム)は、所有権の優先順位を定める為、Race-Notice System(善意登録者保護型システム)という判断基準を取り入れています。ですので、現所有権を主張する方が善意をもって、自身の所有権を覆す、他の方のGrant Deed(不動産譲渡権利書)の登記において気付いていなかった場合を除き、登記された順番によって、所有権に関する優先順位が定められます。また、本土の州に所在する各郡の登記所と同様に、登記官は、各Grant Deed(不動産譲渡権利書)の対象となる物件等を、記載されている所有者が登記上、本当に所有しているか否かについては判断を下しませんので、届けられたGrant Deed(不動産譲渡権利書)においては、ハワイ州の規定等を遵守していれば、それ以上確認をせず、登記してしまいます。

 

 

Land Court System(土地登記システム)

Land Court System(土地登記システム)は、Regular System(一般登記システム)とは異なり、所有権の優先順位を定める為、Race System(登録者保護型システム)という判断基準を取り入れています。ですので、現所有権を主張する方が、対象となる土地において付随していた抵当権、リース、判決、またはリーエン等について気付いているか否かに関係なく、登記した順番によって、優先順位が定められます。ハワイ州においては、Land Court System(土地登記システム)への登記が完了しますと、所有者の名義において、Certificate of Title(登記証明書)が発行されます。Certificate of Title(登記証明書)においては、該当する土地に関わるいかなる抵当権、リース、判決、またはリーエン等を記載しなければいけません。ですが、それらを記載しそびれた場合でも、それは土地の所有権には何ら影響を及ぼしません。それは上記でもご説明した様に、所有権の最優先を主張する方が、土地に付帯する負担等について気付いていたか否かに関わらず、所有者の優先順位が登記された順番のみにて判断されるためです。

 

 

Dual System(一般登記・土地登記・両方に登記されている物件)

ハワイ州の物件においては、Regular System(一般登記システム)とLand Court System(土地登記システム)の両方に登記されている物件等もありますので、注意が必要です。

 

物件がどちらの登記システムに登記されているかの見分け方

登記番号の振り方やページのどこの箇所に登記番号が記述されているか等で、物件がRegular System(一般登記システム)、またはLand Court System(土地登記システム)に登記されているかが判断できます。

 

まず、Land Court System(土地登記システム)に登記されている土地につきましては、ページ数、または登記された年度等が、登記番号上、見受けられません。ですので、登記番号のみが記載されている場合、Land Court System(土地登記システム)において登記されている土地だということが確認できます。ですが、年度と登記番号(例として2015-008999)の両方が見受けられましたら、Regular System(一般登記システム)において登記されている物件だということが確認できます。

 

また、登記情報がGrant Deed(不動産譲渡権利書)の最初のページの左上に記載されている場合、Land Court System(土地登記システム)において、登記されていることが確認できます。逆に、登記情報が最初のページの右側に記載されている場合、Regular System(一般登記システム)において登記されていることが確認できます。

 

上記説明しました様に、Regular System(一般登記システム)とLand Court System(土地登記システム)の両方に登記されている物件等もあります。その場合、Grant Deed(不動産譲渡権利書)の最初のページの左上と右上の両方に、登記情報が記載されていることを確認する必要があります。

 

 

最後に、ハワイ州は島であり、同じ物件についても、土地と建物に対する所有権が分かれている歴史がありますので、登記システムも複雑であるのかもしれません。もともと他州から来た自身からしては、この様に複雑なシステムに日々携わっている、ハワイ州の登記所でお勤めをされている方、または同州で相続関係のお仕事に関わっている弁護士等には、頭が上がりません。

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執筆者

本郷法律事務所

本郷 友香 弁護士

ハワイ州とカリフォルニア州、両方の弁護士資格を所有し、信託、遺言書作成、プロベート(検認手続き)等を含むサービスを主に提供する弁護士。過去数年間は日本に在住し、大手米国会計事務所にて法務、会計の分野において、国際的な仕事に携わっていたとともに、多種の文書において豊富な翻訳経験がある。日本語・英語のバイリンガルであり、両言語において、会話と読み書きが堪能。