帰化の要件:Good Moral Character(道徳的な人格)

2015/09/17

帰化申請者は「道徳的な人格者」でなければならない

帰化(Naturalization)の要件の一つに、道徳的な人格者 “Good Moral Character”(略して”GMC”)でなければならないという要件があります。GMCとは、帰化を希望する申請者が、居住する地域社会の平均的市民の道徳的基準を満たしていることを意味します。一般的に、申請者は申請する前から帰化の忠誠を宣誓する時まで、継続して道徳的人格の基準を満たしている必要があります。

 

 

道徳的な人格者(GMC)の判断基準

申請者のGMCは、移民局がケースバイケースで判断します。過去の犯罪行為や不法行為により、申請者がGMCを欠いていると判断されることもありますし、特定の犯罪行為歴がある申請者に関しては、自動的にGMCでないとし強制送還の対象とされてしまうこともあります。移民局は、申請者のこれまでの記録、帰化申請で提供される記述、そして面接時の口頭での証言など全てを検討して、GMCの判断を行ないます。また、逮捕記録や有罪判決記録の有無に関係なく、申請者が居住する地域社会の道徳基準に反するいかなる行為や行動が判断の対象となりますので、注意しましょう。

 

 

考慮される項目と期間

一般的に、申請者は帰化申請日から遡り5年間は”GMC”を満たしている必要があります。一定のアメリカ市民の配偶者に関しては、申請から遡り3年間、また、特定の退役された軍人は軍事条項に基づいて申請から遡り1年から5年の間、継続して”GMC”を満たしていなければなりません。いずれの場合においても、申請者は、帰化される時まで、道徳的な人格者であり続けていることを示す必要があります。

申請者のGMCを判断する際には次の要素が考慮されます。

  • 家族の絆や背景
  • 犯罪歴の有無
  • 学歴
  • 職歴
  • その他の遵法行動(税金を納めている、金融債務を満たしている等)
  • コミュニティ活動への参加
  • 申請者の信頼性
  • 保護観察・執行猶予の遵守
  • 米国での滞在期間

犯罪や逮捕によって「有罪判決」とされた場合は、GMC要件の認定を妨げることになります。移民法での「有罪判決」とは、裁判所によって有罪とされた正式な判決を意味します。 申請者が逮捕された場合、その逮捕の結果が判決をもたらしたものか、必ずしも明確ではない場合もあります。多くの州で、判決の影響を減少させるための規定や州法がありますし、一部の州では、逮捕された者が公判前にダイバージョンプログラム(転換措置)に参加することにより、通常の刑事手続きから除外されることもあります。また、カウンセリングや治療プログラムに入り、刑事訴追を回避できることもあります。よって告発された者が、公判前にそのような介入プログラムへの参加を指示され、さらに罪の容認や有罪判決がない場合は、移民プロセスにおいて「有罪判決」とみなされない場合もあります。

 

 

アメリカ国外の犯罪も考慮の対象

また、アメリカ国外での有罪判決についても考慮されます。例えば、アメリカの基準によって犯罪とみなされる行為の結果による判決であれば、アメリカ国外の判決であっても移民局は「有罪判決」とみなします。さらに、外国の管轄裁判所により課された量刑に関係なく、重罪・軽罪であるかの判断は、量刑に関する米国連邦基準にもとづいて決定されます。

 

さらに、記録から抹消された前科(Expunged Conviction)であっても、移民プロセスにおいて言えば、もともとの記録を削除することにはなりません。例えば、規制薬物違反や不道徳な行為を含む犯罪の有罪判決が記録から抹消されていたとしても、申請者の「有罪判決」の記録として考慮されます。また、アメリカ国外で抹消されている前科も、移民プロセスの目的上は有罪判決とみなされます。さらに、州の法律により、犯罪者のリハビリテーション(社会復帰)のために抹消、却下、削除された有罪判決や罪の容認なども、移民プロセス上では、もともとの判決を除去することにはなりません。

 

 

永久的にGMCがないとみなされる項目

次の不道徳行為や犯罪を一つでも犯している場合は、永久的にGMCがないとみなされます。

  • 殺人の有罪判決をうけた者
  • 1990年11月30日以降に加重重罪(Aggravated felony)の判決をうけた者。加重重罪は以下を含む。
    • 未成年の殺人、レイプもしくは性的暴力
    • 規制薬物の違法売買
    • 銃器やその他破壊的機器の不正取引
    • マネーロンダリング犯罪(1万ドル以上)
    • 暴力犯罪(1年以上の懲役)
    • 窃盗犯罪(1年以上の懲役)
    • 賭博犯罪(1年以上の懲役)
    • 詐欺や納税義務を怠った罪(1万ドル以上)
    • 上記を含む加重重罪の陰謀や試み

申請日から遡った規定された期間内に、不道徳行為を犯している場合や、麻薬犯罪、宣誓偽証、アルコール常習者、重婚者とみなされた場合は、永久的ではありませんが、GMCの要件を満たしてないとされます。

 

 

GMCがないとの判断で、強制送還の可能性も

GMCを欠いていると判断された申請者は、強制送還の手続きを行なうよう勧告される場合もあります。ただし、GMCを満たしていないからといって、必ず強制送還されるわけではありません。それぞれのケースにより、また様々な要因によって判断されることになります。

 

 

※本コラムは顧客からの質問を一般的なケースに書き換えたものであり、読者への情報提供を目的としたものです。特定事例における法的アドバイスが必要な方は、専門家に相談してください。

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執筆者

アイナ法律事務所

ミチコ・ノーウィッキ 弁護士

米国移民法、帰化法を専門とし、米国へ移住を希望される家族を始め、個人並びに企業なども対象とし、あらゆる移民法に関するお手伝いをしています。 学歴 ハワイ大学法律学校(JD, University of Hawaii William S. Richardson School of Law) マーケティングと経営学の学士を同時取得 (BA、 University of Hawaii at Manoa) 弁護士ライセンス Hawaii Supreme Court U.S. District Court, District of Hawaii U.S. Court of Appeals, Ninth Circuit 弁護士協会 American Immigration Lawyers Association (AILA-Hawaii Chapter), 全米移民弁護士協会 American Bar Association (ABA) (全米弁護士協会)、 Hawaii State Bar Association (HSBA) (ハワイ州弁護士協会)。