トラストの国籍 -アメリカと外国籍のどちらに該当するか?

2016/02/04

トラスト(信託)には国籍がある

アメリカで作成するトラスト(信託)には、国籍があります。アメリカ国籍と識別される場合と異なり、外国籍と判断された場合は、税務当局への報告義務、申告義務等が重くなってしまいます。

 

 

国籍の判断基準

1996年以前までは、管財人(Trustee)の居住地、トラスト作成者(Trustor)または受取人(Beneficiary)の国籍、トラストが管理される管轄等の事実事項が考慮され、総合的にトラスト(信託)の国籍が判断されていました。1996年以後、新しい法律において、より客観的にトラストの国籍を判断する基準が発効されました。 連邦規則において、以下の要件を満たすトラストは、アメリカ国籍と見なされます。

A trust is a United States person if

  1. A court within the United States is able to exercise primary supervision over the administration of the trust (court test); and
  2. One or more United States persons have the authority to control all substantial decisions of the trust (control test).

上記を和訳しますと、以下の通りになります。

トラストは以下の要件を満たした場合、アメリカ国籍と判断される。

  1. アメリカ国内の裁判所が、トラストを管理監督することができる。
  2. アメリカ居住者、またはアメリカ国籍保有者の一人以上が、トラストに関する、いかなる重要な決断を下す権限を有している。

上記の要件を満たす以外のトラストの全ては、外国籍と判断されます。

 

[1] に関しては、アメリカ50州の内のいかなる連邦、州、地方裁判所がトラストを主に管理監督することができれば、要件を満たすことができます。外国の管轄が管理するトラストは、外国籍と見なされます。

 

[2] に関しては、トラストで指定される管財人(Trustee)の一人以上がアメリカの居住者(永住権保有者)またはアメリカ国籍者であり、トラストに関する重要な決断(トラストの財産分配、受取人の選択、投資判断、トラストを解約するか等に関する決断を含む)を下す権限を有していれば、要件を満たすことができます。

 

日本国籍であり、家族に永住権を保有する方がいらっしゃらない場合はアメリカの銀行、トラスト会社等に手数料を年次で支払い、トラストの管財人(Trustee)になってもらうことができます。

 

 

外国籍のトラストの運用の難しさ

アメリカの税務当局(IRS)は、ケイマン島等で作成される外国籍のトラストを厳しく取り締まっている為、アメリカ国籍のトラストには要請しない年次の報告義務、申告書提出義務等を設けています。 アメリカ国籍のトラストには、トラスト作成者のソーシャル・セキュリティー番号が振り分けられる為、トラストと作成者は識別されず、トラストにおいて所得が発生した場合等は、作成者の個人の申告書において、その所得が申告されます。アメリカ国籍のトラストは作成者と「同一」の単体である為、トラストの為のみの申告書提出義務、または報告義務等は、通常発生しません。

 

 

日本国籍のみの方は弁護士にご相談を

日本国籍のみをお持ちの方は、アメリカでトラストを作成する際、ご家族の中で永住権またはアメリカ国籍を持つ方を管財人(Trustee)に指定する、または銀行等に管財人(Trustee)になってもらうか否かについて、弁護士にご相談することをお勧めします。

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執筆者

本郷法律事務所

本郷 友香 弁護士

ハワイ州とカリフォルニア州、両方の弁護士資格を所有し、信託、遺言書作成、プロベート(検認手続き)等を含むサービスを主に提供する弁護士。過去数年間は日本に在住し、大手米国会計事務所にて法務、会計の分野において、国際的な仕事に携わっていたとともに、多種の文書において豊富な翻訳経験がある。日本語・英語のバイリンガルであり、両言語において、会話と読み書きが堪能。