QTIP(Qualified Terminable Interest Property)とは

2015/09/25

QTIPの概要

以前の記事でご紹介したQDOTトラストは、アメリカ市民権を持たない配偶者がいた場合に、連邦相続税の免除を受けることを可能にするものでした。今回ご紹介するトラストはQTIP (Qualified Terminable Interest Property)と言い、一度以上ご結婚をされていて、後の配偶者と前の配偶者からのお子様の両方を持つ方が、その両方に資産を残すために効果的なトラストです。

 

 

QTIPの機能

QTIPトラストを作成した場合、最初の配偶者が亡くなった際、生存配偶者は、QTIPトラストから引き継ぐ資産に対し、「Life estate(生涯不動産権)」の形態で引き継ぐことになります。こちらの形態ですと、生前(生涯の間)、資産に対する権利を所有することになりますので、亡くなった後は権利を無くすことになります。生存配偶者のみをLife Tenant(生涯不動産権者)として任命することができ、生存配偶者は生涯トラストから及ぼされる収入、またはトラストが所有する不動産等を利用することができます。ですが、生存配偶者にトラスト資産に対する絶対的な所有権はない為、生存配偶者は、トラスト資産を売却、または譲渡等することはできません。

 

生存配偶者が亡くなった際、トラスト資産はトラストが指定する「最終受取人」に渡ります。QTIPトラストの場合、前の配偶者の子供を「最終受取人」に指定する場合が多いです。

 

 

QTIPの効果

前の配偶者からの子供をトラストの「最終受取人」に指定することは、子供たちの安心に繋がります。後の配偶者に資産を全て残した場合、前の配偶者の子供たちに資産を分け与えない可能性がありますので、QTIPトラストを作成することによって、家族との調和を保つことができます。

 

 

QTIPの連邦相続税の繰延べ効果

QTIPトラストを作成することにより、連邦相続税の支払いを回避することはできませんが、もし $5,430,000 を超える資産があった場合、生存配偶者が亡くなるまで、支払いを繰延べすることができます。QTIPに入れる資産はUnlimited marital deduction(無制限の婚姻控除)の対象となりますので、最初の配偶者が亡くなった際、生存配偶者には連邦相続税を支払わず、資産がまず渡ります。(QDOTの解説でご説明したことと同様に、QTIPの場合も、Unlimited marital deductionは、生存配偶者がアメリカ市民権を持っていない場合はその控除を受けることができませんので、その場合はQDOTトラストを作成する等の手段を取ることになります。)

 

しかし生存配偶者の死後 $5,430,000 を超えるQTIP資産については、連邦相続税を支払わなければいけません。

 

 

QTIPの撤回能力

QTIPには上記以外の利点があります。QTIPを作成していたとしても、最初の配偶者の死後、家族の財政状況等がQTIPを作成した時から変動していた場合、生存配偶者はそのQTIPトラストを履行しなくても良く、撤回することができます。

 

遺言書において執行人に指定された方が、最初の配偶者の死後から9カ月後に提出する相続税申告書に「QTIP」という項目を選択するまでは、QTIPトラストを撤回することができます。相続税の申告書にそれを選択した時点で、QTIPトラストを撤回することはできなくなります。

 

 

 

上記に記述する通り、QTIPトラストには様々な利点があります。ですが、それぞれの家庭状況において作成する方が良い場合もあり、そうでない場合もありますので、作成をするにあたっては専門家のアドバイスをお聞きすることをお勧めします。

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執筆者

本郷法律事務所

本郷 友香 弁護士

ハワイ州とカリフォルニア州、両方の弁護士資格を所有し、信託、遺言書作成、プロベート(検認手続き)等を含むサービスを主に提供する弁護士。過去数年間は日本に在住し、大手米国会計事務所にて法務、会計の分野において、国際的な仕事に携わっていたとともに、多種の文書において豊富な翻訳経験がある。日本語・英語のバイリンガルであり、両言語において、会話と読み書きが堪能。