飲酒運転-グリーンカードの申請、市民権の取得への影響

2013/12/08

飲酒運転有罪判決の、グリーンカード・市民権への影響は?

飲酒運転(DUI)での有罪判決はグリーンカードの申請、または市民権の取得にどのような影響があるのでしょうか?

道徳的に問題のある犯罪(Moral Turpitude)を犯した場合には、それを根拠にグリーンカードの申請を却下されることがあります。ゆえに、飲酒運転がグリーンカードの申請に影響を与えるかどうかは、その行為が道徳的に問題があるとみなされるかどうかによります。一般に、非道徳的な犯罪は意図をもって行わるという要件があります。多くの州法では、飲酒運転は、血中のアルコール濃度が州の定める一定値以上である場合に運転を行うこと、と定められていますので、意図とは関係がありません。したがって、大部分の州では単なる飲酒運転は非道徳的であるとみなされません。つまり、単なる飲酒運転の場合、グリーンカードの申請に影響が出ることはないでしょう。

 

 

居住する州法でどのように扱われるか

悪質な重犯罪(Aggravated felonies)という種類の犯罪も、申請の却下または国外退去の対象となるものです。悪質な重犯罪を犯した場合、グリーンカードや市民権の取得を妨げるのみならず、国外退去を命ぜられる可能性さえあります。いくつかの州では、一年以内に複数の飲酒運転で有罪判決を受けた場合、悪質な重犯罪とみなされることがあります。したがって、単なる飲酒運転であっても一年以内に複数回であれば悪質な重犯罪とみなされる可能性もありますので、居住する州法で、複数回の飲酒運転での有罪判決がどのように取り扱われるかを確認してみるといいでしょう。それにより、同じ行為であっても、グリーンカードや市民権の取得ができるのか、または国外退去となる可能性があるのかなどが決定されます。

 

市民権を取得する為には、グリーンカード保持者は5年間、道徳的に問題がない人物であることを示さなくてはいけません。何をもって「道徳的に問題がない」とするのかには明確な基準がなく、移民局の職員がケースごとに判断します。移民局は犯罪逮捕歴や有罪判決を確認し、もしそれらがあれば、どの程度のものであったかも確認します。

 

道徳的に問題がない飲酒運転で、申請の5年以上前の場合

道徳的に問題がない飲酒運転で、それが申請の5年以上前であれば、通常は、市民権取得のための道徳要件には影響しません、ただし、職員がそれを疑問視するかもしれませんし、ほかの軽微な違反と合わせ、総合的に判断した結果、申請が却下される可能性はあります。申請日からさかのぼった5年間の前半に飲酒運転があったとしても、その後は違反がない場合には、職員が問題なしと判断し許可を出すこともあるでしょう。

 

飲酒運転の逮捕歴が2回ある場合

ただし、飲酒運転の逮捕歴が2回ある場合、市民権の取得は難しくなってきます。5年以内に複数飲酒運転での逮捕歴がある場合は、最後に逮捕されてから5年間待つのが賢明でしょう。複数回の違反に罰則を科す州に居住しており、複数回の飲酒運転の有罪判決を受けてしまった場合、申請が特に難しくなるということを覚悟しておいたほうがいいでしょう。前述の通り、これは悪質な重犯罪とみなされますので、市民権の取得が却下されるのはおろか、国外退去の対象にもなります。複数回の飲酒運転が悪質な重犯罪でない州にいる場合でも注意が必要です。移民局は5年以上前に起こった飲酒運転についても調べる裁量権を有します。そこで、5年の期間の前に一度、5年の期間内にもう一度、飲酒運転があることを理由に、市民権の申請を却下されることもあります。

 

 

市民権申請中に飲酒運転で捕まってしまったら…。

市民権申請(N400)中に飲酒運転で捕まってしまった場合、インタビューで「これまでに逮捕または拘留されたことはありますか?」と移民審査員に質問されたら必ず「はい」と答え、飲酒運転について説明しなければなりません。

 

大抵の場合、飲酒運転の裁判の結果がでるまでN400の審査は保留されます。もし、有罪判決を受けた場合、通常2~4年の執行猶予の判決がでます。そして、執行猶予中ということで、N400の申請は却下されてしまいます。無罪判決の場合には、ほかに問題がない限り、申請は認可されるでしょう。もし、飲酒運転の告訴が取り下げられる可能性がないと判断された場合には、N400の申請を正式に引き下げることができます。N400申請の撤回をするには、USCISにその旨を書いた手紙(受理証明のため書留配達便で送る)を提出、または市民権のインタビューの際に手紙を手渡する必要があります。申請引き下げの手紙を書く際、特に決まった形式はありません。ただし、移民審査員に申請引き下げ用紙にサインを求められることもあります。もし、N400申請を正式に撤回した場合、万が一有罪の判決が出たとしても、市民権申請を却下されたという記録が残ることはありません。

 

しかし、N400申請を撤回したからといって、申請費用は返金されません。引き下げ理由を聞かれたら、飲酒運転で捕まったからと説明しても問題はありません。よくある理由ですし、執行猶予終了後に市民権を再度申請する際、またはグリーンカードを更新する際の指紋採取によって、USCISはどちらにしろ飲酒運転の記録を入手することとなります。大抵の州では、申請者に飲酒運転の犯罪歴があったとしても、執行猶予期間が終了しており、申請書の提出とインタビューの準備を入念にしていれば、申請者が品行方正な人物であると証明することは不可能ではありません。

 

※このコラムはクライアントからよく相談されるケースをご紹介したものです。

読者のお役に立てればと思いますが、あくまでも一般的なケースであって法的なアドバイスが必要な方は専門家にご相談ください。

 

 

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執筆者

アイナ法律事務所

ミチコ・ノーウィッキ 弁護士

米国移民法、帰化法を専門とし、米国へ移住を希望される家族を始め、個人並びに企業なども対象とし、あらゆる移民法に関するお手伝いをしています。 学歴 ハワイ大学法律学校(JD, University of Hawaii William S. Richardson School of Law) マーケティングと経営学の学士を同時取得 (BA、 University of Hawaii at Manoa) 弁護士ライセンス Hawaii Supreme Court U.S. District Court, District of Hawaii U.S. Court of Appeals, Ninth Circuit 弁護士協会 American Immigration Lawyers Association (AILA-Hawaii Chapter), 全米移民弁護士協会 American Bar Association (ABA) (全米弁護士協会)、 Hawaii State Bar Association (HSBA) (ハワイ州弁護士協会)。