嫌がらせ、ハラスメントについて
2014/10/16
指一本での接触も逮捕につながります
初めまして! 今月から、犯罪に関わるハワイの法律の話をさせていただきます。アメリカは日本とは事情が異なり、日常生活の些細な出来事が逮捕につながることがあるもの。このコラムでは、身近なところで起こりえる意外なトラブルを中心に、お話していきたいと思います。
犯罪となるかどうかの決め手は?
第一回目は、嫌がらせ(ハラスメント)についてお話します。日本でハラスメントは、セクシャル・ハラスメント、パワー・ハラスメントなどモラル的な問題を指す言葉として使われている感がありますね。ですがアメリカの刑法上でのハラスメント、つまり嫌がらせは、れっきとした犯罪行為。相手にケガがなくまた性的なタッチでなくても、十分に犯罪として成立します。
刑法上で嫌がらせは二つに分類され、一つが身体的な嫌がらせ。二つ目が言葉での嫌がらせです。言葉での嫌がらせも、日本でいうハラスメントと似てあらざるもの。その言葉により被害者が身の危険を感じた場合に、犯罪として成立します。脅迫罪と関わってくるので、こちらについては別の機会に改めてお話しします。
身体的な嫌がらせですが、アメリカではどんな軽いタッチでも、それが意図的な接触で、相手が不快に感じたら、嫌がらせという犯罪にあたります。指で相手の肩をちょんとさわる、軽くおでこをなでるといった程度でも、相手が感情を害すれば逮捕されるわけです。ケガが一切なく、性的なタッチでなくとも、罪になります。
具体例を出すと、日本からの旅行客で、レストラン従業員への嫌がらせにより逮捕された方がいました。サービスについて言い合いになり、詰め寄ってきた相手を軽く押し返したところ、通報されました。もちろん相手にケガはありませんでした。ほかに、客室に騒音を注意しに来たホテル警備員の肩をポンポンと押し、ドアを閉めようとしたため、同様に逮捕されたケースもあります。
嫌がらせの定義とは?
ここで嫌がらせの定義を簡単に整理してみましょう。意図的な肉体の接触があり、痛みはないが相手が不快に感じた場合。それが嫌がらせです。一方、そこに痛みが生じた場合は、暴行罪にあたります(痛みがあったか否かが、暴行罪と嫌がらせの区分です)。もっともすれ違いざまなど、悪意のないうっかりした接触は、嫌がらせにはなりません。
しかも日本の方がよく驚くのは、いったん通報されて警官が来た場合、アメリカでは日本のように警官が当事者にお説教しておしまい、ではありません。ほとんどの場合、あっさりと逮捕されます。繰り返しになりますが、指で相手の肩にさわった程度の些細な出来事でも連行され、保釈金を払うまで留置場で拘束されることになります。釈放後は、日を改めて裁判所に出頭することになります。
ちなみに嫌がらせで有罪となった場合の刑罰は、最高で30日までの禁固と、$1000以下の罰金となっています(この数字は最大限とご理解ください。通常は数百ドルの罰金刑が課されることが大半です)。しかし在住者なら、禁固刑の代わりに感情コントロールのカウンセリングを10回前後、有料で受けるよう裁判官が命令するのは、よくあること。そして旅行者なら、アメリカ再入国時にこの犯罪歴を申告しなければなりませんから、結末がなかなか厄介なのは同じです。
「腹が立っても相手にふれない」が鉄則
さらに注意したいのは、この嫌がらせという罪を悪用し、わざと相手を挑発して身体的なタッチを誘発し、警察沙汰にするケースが少なからずある事実です。たとえば何らかの揉め事の最中、相手の顔が鼻先まで迫ってきたら。思わず相手を押し返すことはありますよね。そのとたん、相手は待ってました! とばかりに叫ぶわけです。「今、さわったな? 俺にさわったな?」と。そして警察を呼び、相手を逮捕させる。このようなことが実際、多々起きているのが現状です。前述の日本人旅行者の事件も、全くこの通りの展開でした。
ですが、それがどんな状況であれ、先に相手に手をふれた方に非があるというのは、覆すことのできない法則です。なので鉄則は、腹が立っても「絶対に相手の身体にふれないこと」。この一言に尽きるでしょう。
以上のように、日本とアメリカでは、いろいろ事情が異なります。そのことを理解し、思わぬトラブルで深刻な事態に巻き込まれないよう、どうぞご注意ください。