EB-1 国際企業管理職の永住権取得の難しさについて

2013/07/15

Aloha!

今回のコラムはEB-1国際企業管理職の永住権取得の難しさについて紹介します。

 

 

EB-1国際企業管理職の永住権取得の難しさについて

近年、EB-1国際企業管理職の永住権取得を目的に、本国にビジネスを残したままアメリカ国内に中小企業を起業する移民が増えている。しかし、そういった人の多くが永住権を取得できずに帰国している。これは一体どういうことなのか? 過去数年間、米国市民権及び移民サービスセンター(以下USCIS)で永住権とビザ延長申請が承認されたケースを見てみると、ほとんどが大手企業の社員であることが分かる。もっと詳しく言えば、社内に部署が多くあり、申請者と社員の間に多くの中間管理職がある様な大手企業の一員の方が選ばれ易いのである。要するに、社員がより多く、社内の上下関係がより複雑な会社の管理職についている者の方がL-1の更新とEB-1の永住権は取得がしやすいのである。

 

 

申請書の職務欄と、社員数が重要

申請者が「管理的かつ経営的」な仕事をしているかどうかは審査員の主観的な独断にて判断される。その際、申請書の職務欄と企業内での申請者の下にいる社員数が重要となる。平社員と申請者との間に最低でも階級が2つか3つ存在しなければならない。最適なのは社内に部署が多くあり、それぞれに管理責任者がおり、平社員が一番下にいる組織構造である。企業のヒエラルキーを木に例えれば、幹が太く、枝や葉の多いカシの木の方が、幹が細く、枝や葉の少ないヤシの木よりも有利なのである。

 

 

重要なのは社員数だけではない

しかし、ビザの承認に必要な社員数は特定されているわけではない。それでも、最低でも10人は必要だろう。USCISがEB-1を取り易くしてしまうと、EB-5の安い代替となってしまう可能性が高くなるからである。さらに、社員数以外に社員構成も重要となってくる:社員が10人でも部署が多い会社だと受かるかもしれないが、社員が20<人でも中間管理職が僅かで平社員ばかりでは受からない可能性が高い。

 

企業の事業内容の精巧さ、複雑さも重要である。業務内容が複雑で、社員が高度の熟練労働を要する企業の方が単純労働を旨とする企業よりも受かる可能性が高い。例としては、大学出身者ばかりの小さなテクノロジー企業の方が、未熟練労働者の多い芝生の手入れ会社よりも有利であることがあげられる。

 

L-1とEB-1のガイドラインには「機能的管理職」について触れているが、実際にはUSCISは傘下に社員の居ない申請者を認めることは極めて少ない。

 

 

EB-1には隠れたコストが存在する

実業家の多くはEB-5の50万ドルよりも安い代替を求めてEB-1に投資を考えるが、隠れたコストが存在することを忘れてはいけない。多くの実業家がアメリカ国内での企業を立ち上げる際に多忙のため本国の企業を潰してしまうこともある。また、アメリカ国内の企業が上手く立ち回らなくなっても、EB-1永住権申請のためには、L-1ビザ保持に必要な社員数を維持する必要がある。そのための経済的負担ははかりしれない。

 

海外の実業家がアメリカ国内で起業し、L-1ビザの申請をしても1年有効のビザしか下りない。しかし、1年以上存在していない企業の従業員は永住権の申請ができない。しかも、1年の終わりでL-1ビザを延長するには5人以上の仕事枠を作り出している必要があり、L-1ビザの延長が受理されたとしても、最長期間は7年までである。その7年の間にさらに仕事枠を10人以上に増加することが求められる。経済の悪化や、顧客が離れてしまったりといった問題が発生した場合や、僅かな年数で時代遅れになってしまうテクノロジー関連の企業では特に難しい条件である。

 

以上の理由により、国際企業管理職のL-1/EB-1取得申請は、すでにアメリカへの市場拡大を狙い、市場を研究し尽くし、様々な問題を乗り切るのに必要な経済的余裕がある者に適している言えるであろう。実業家の多くがアメリカでのビジネスチャンスを過大評価し、アメリカ国内に無い品物を導入すればすぐに売れるのだと勘違いしているように見受けられる。アメリカにも敏腕の実業家が多くおり、売れるモノなら他の誰かがすでに商品化している可能性が高いということを忘れてはならない。

 

L-1/EB-1永住権への道は不可能ではない。しかし、これを取得できるのは現実を見通すことが出来、資金が備わっており、根気強く、そして、良いビジネスチャンスに恵まれた運の強い実業家だけである。

 

※お断り

このコラムは質問形式になっていますが、クライアントからの質問を一般的に書き換えたものです。読者のお役に立てればと思いますが、あくまでも一般的なケースであって法的なアドバイスが必要な方は専門家にご相談ください。

 

 


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執筆者

アイナ法律事務所

ミチコ・ノーウィッキ 弁護士

米国移民法、帰化法を専門とし、米国へ移住を希望される家族を始め、個人並びに企業なども対象とし、あらゆる移民法に関するお手伝いをしています。 学歴 ハワイ大学法律学校(JD, University of Hawaii William S. Richardson School of Law) マーケティングと経営学の学士を同時取得 (BA、 University of Hawaii at Manoa) 弁護士ライセンス Hawaii Supreme Court U.S. District Court, District of Hawaii U.S. Court of Appeals, Ninth Circuit 弁護士協会 American Immigration Lawyers Association (AILA-Hawaii Chapter), 全米移民弁護士協会 American Bar Association (ABA) (全米弁護士協会)、 Hawaii State Bar Association (HSBA) (ハワイ州弁護士協会)。