ホリスティック医学の時代
2014/02/19
治療を「戦場の戦い」のように説明する雑誌の記事
手術、抗がん剤と放射線の三大療法を終えて、くたくたの状態で当クリニックに来院した末期がんの患者さんが一冊の雑誌を持ってきました。それは大手の雑誌で、表面には、“がんは今や日本人の半数が発症、何が生死を分けるか?”と大きく書かれており、それに続いて“超・先端医療”という治療法が誇らしげに紹介されていました。
- がんワクチン療法
- がん細胞から発現する特定の抗原を“攻撃”。
- ウィルス療法
- ヘルピスを使いがんを“破壊”する。IMRT放射線療法-がんの形や動きを追尾して、“集中攻撃”する。
- ロボット外科療法
- 執刀医の動きを三分の一に収縮し微細な手術に“威力”を発揮する。
- 薬物療法
- 新細胞のDNAを“無差別攻撃”する殺細胞性抗がん剤の性質と、がん細胞の増殖を“制圧”する分子標的型をあわせた新型抗がん剤で、“ミサイル”に例えるとターゲットに食いつきやすいがん選択性の抗体を本体に持ち、“弾頭にある殺細胞毒性”でがんを“追跡攻撃”する。
治療をまるで戦場の戦いのように説明する本を持ったこの患者さんは力なく頭をたれています。 病巣を“敵”としてひたすら攻撃する戦争的心理の対症療法が、唯一生死を分ける選択肢であるとして印象付けられており、同誌説明のがん予防は放射線被曝が懸念される人間ドックの連続使用と遺伝子診断も勧めていました。ちなみに、遺伝子診断は将来的に起こるがんを遺伝子的に予想してがんが発症する前に手術で切り取ってしまうというものです。
がん発症の原因
がんは特定の遺伝子変異が積み重なって発症し、生まれつきの遺伝子変異が原因と考えられているのは全体のほんの一割だけだといわれています。残りの九割は生活習慣で起こる発がん性物質への暴露と体の免疫力の低下が原因です。発がん性物質は食品添加物や農薬、防腐剤、ケミカル、体内での薬品類の化学反応、さまざまな公害や原子力汚染物質の被曝など全て環境由来です。これに重なる2番目のファクターが体の免疫力の低下でしょう。
攻撃的な治療でなく、免疫機能を上げ治療や予防を施す
ガンの原因が体内に入った発がん性物質と免疫力の低下なら、ガンを敵視して攻撃することにどれほどの意味があるのでしょう。これはガンの治療だけでなくさまざまな病状に対しても同じことが言えます。まるで兵器のような最新技術や薬剤で病巣をひたすら攻撃し、症状を叩くという行為には限界があることは医療が進歩しているという傍らで、患者が急増していることから見ても周知のことです。これからの医学は、従来の攻撃的な治療に重点をおくより、環境的因子や生活習慣を改善させて体から有害物質を取り去り、同時に免疫機能を上げていく治療や予防を施すという発想の転換が大切です。
このような現実的背景から、先見の目を持つ医師や患者の間では、人間全体のバランスと、その周りの環境全体を診て免疫力を上げる東洋医学などの全人的医療コンセプトを持つ代替医療に関心が広まってきました。そして最近では代替医療と現代医学を統合した医療の考え方が注目されているのです。これをホリスティック医学と呼びます。
ホリスティック医学の利点
ホリスティック医学の良いところは、代替医療の全人的医療に加え、さまざまな有効なほかの医療を統合させるという点にあります。例えば、東洋医学やその他の自然医学や治療法は、免疫を促進して自然治癒力を挙げるので慢性疾患の改善にはとても良い効果を発揮します。一方、現代医学の良い点は、緊急を要する事故や炎症、またはバイ菌の感染などに良い効果を発揮し、病気を診断する機材や技術も本当に良いものです。治療において両者を統合させた統合医療で治療に当たることで両者の利点が相乗効果を出して人を癒します。そして同時に地球の環境保全にもつながる画期的なパラダイムシフトと言えそうです。
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