トレスパッシングとは

2015/02/03

うっかりミスによる不法侵入が増加中

トレスパッシングの和訳は「不法侵入」。日本では不法侵入というと、家宅侵入など他人の敷地に無理やり侵入する罪との印象がありますね。ですがアメリカのトレスパッシングでの逮捕は

  1. 立ち入り禁止の場所にいたため
  2. 入場を断られた場所に戻ったため

という2パターンが中心です。うっかり何も知らずに逮捕される悪意なき人が、実はハワイでは多いのです。日本人観光客でもそういう例があります。

 

1のケースを具体的に説明しますと、ハワイでは公園をはじめ公立学校など、夜間、立ち入り禁止になっている公共の場所がたくさんあります。夜10時から朝5時、深夜2時から朝5時など、禁止時間は場所により様々。防犯のためもあるのですが、主にホームレスが公園で寝泊りするのを禁じる目的で、こういった規則が作られました。

 

たとえばワイキキのカピオラニ公園も、深夜12時から朝5時までは立ち入り禁止です。ところが閉園といっても、別にゲートが閉まっているわけではありません。うっかり公園に入り、逮捕されるケースが出ています。深夜の立ち入り禁止を告げる看板はありますが、広い公園ですし、特に夜間は看板に気づかない人は多いようです。

 

またビーチも全てのビーチではないのですが、そこがビーチパークになっていれば、事情は公園と同様です。たとえばクヒオ・ビーチパークは深夜2時~5時、アラモアナ・ビーチパークは夜10時~朝4時、ハレコアホテル横のフォート・デルッシー・ビーチパークは深夜2時~5時、立ち入り禁止といった具合です。

 

警察の発表によれば、2013年、ワイキキ地区だけでも1780人が、トレスパッシングの罪より裁判所への出頭を求められました(その場での逮捕ではありませんが、代わりに警官から裁判所への召喚状を渡されます)。日本人男性でも、ワイキキからダイヤモンドヘッド地区に行くためカピオラニ公園を横切っていて警官に咎められ、召喚状をもらった人がいました。

 

中には運よく警告だけ受けて終わった人もいますが、逆に召喚状に終わらずその場で逮捕されるケースもあります。警官の指示に従わなかったり口論したり、ホームレスなど本当に裁判所に出頭するか疑わしい場合、トレスパッシングでもその場で警官に逮捕されることがあるからです。

 

 

私有地に関する 不法侵入 とは

2つ目のケースは、私有地へのトレスパッシングです。具体的には飲食店やホテル、ショッピングセンター、企業、住宅に関わる不法侵入を指します。この場合はまず最初に何らかの理由で、その敷地から「出て行け」「2度と来るな」といった警告を受けることから始まります。そして警告を受けたのに拒否した、または再度その場に戻った場合、トレスパッシングの罪が成立します。

 

よくあるのがバーで酔い、出て行くように促されたのに出て行かず警察を呼ばれたケース。また恋人と喧嘩して家から出て行くよう言われたのに居座り、警察を呼ばれるケースや、何かの理由でホテルの敷地から出て行くように注意され、いったん去った後にこっそり戻って警察を呼ばれたケースなどもあります。

 

このように不法侵入という日本語の言葉のニュアンスとは違った、何気ない状況で逮捕されてしまうトレスパッシングの事例が、実に多い昨今です。郷に入れば郷に従えで、ハワイでは日頃から公園やビーチの閉園時間を示した看板を見ておく、トラブルに巻き込まれやすい深夜の外出を控える…などの自衛策が、時には必要でしょう。

 

そして万が一、警告を受けたら。相手が警官でも一般人でも、とにかくその指示に 速やかに従ってください。議論などしても、いいことは何もありません。

 

ちなみに、トレスパッシングで有罪となった場合の罰則は、公共の場やビジネスへの侵入で30日までの禁固や最高$1000の罰金。ただしそれが公立学校への侵入なら、1年前の禁固や$2000までの罰金になります。住居への侵入も、公立学校と同じ罰則になります。この場合の住居は、庭や、アパートならロビーや廊下も含まれます。ただしこれらの罰則は最悪の場合で、現実の罰則は通常、ぐっと軽微ではあります。ただし逮捕の場合も、裁判所に召喚された場合も、同様に犯罪歴が残りますから、気をつけてください。

 

 

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執筆者

刑法専門弁護士

ウォルター・ロドビー弁護士

1964年、オアフ島ワヒアワに生まれる。1991年にハワイ大学法律大学院を卒業後、ハワイ州とワシントンD.C.の司法ライセンス(弁護士資格)を取得。ハワイ州高等裁判所の調査担当書記官を経て、1992年からハワイ州選弁護人事務所に勤務。2006年、ホノルル・ダウンタウンにウォルター・ロドビー法律事務所を開設する。ハワイ州司法協会&ハワイ州刑法弁護士協会会員。またハワイ州選弁護人事務所セミナーの特別講師、プナホウスクール模擬裁判クラブのコーチなども務める。