トラストの対象となる被相続人が亡くなった後の申告義務

2016/03/01

 

トラストの被相続人が亡くなったら?

トラストとは基本的に作成した後、署名をするページの全てに、公証人に認証してもらい、裁判所に提出・開示する義務を擁しない為、作成者の自宅等で家族間のみに内容を開示し、トラストの対象となる被相続人が亡くなるまで保持しておくことになります。この点につきましては、裁判所への開示義務を擁する遺言書とは異なります。

 

では、作成したトラストの対象となる被相続人が亡くなった後はどうするのでしょうか?トラストの場合、トラスト文書において任命されるTrustee(管財人)が、被相続人が亡くなった後、被相続人の財産の棚卸しを行い、債権者等に必要な支払いを済ませ、残存資産をトラストにおいて指定されている受取人に分配する義務を擁します。遺言書の場合も同様に、Personal representative(執行人)が裁判所に任命され、トラストの場合のTrustee(管財人)と同様の役割を果たすことになります。

Trustee(管財人)やPersonal representative(執行人)は実質、被相続人の家族の方である場合が多く、特に法律的・会計的な知識がない為、被相続人が亡くなった後の処理を弁護士や会計士等に依頼する場合が多く、弁護士や会計士はTrustee(管財人)やPersonal representative(執行人)と連携して、「後処理」を執行する場合が多いです。

 

 

申告義務

Trustee(管財人)やPersonal representative(執行人)は、被相続人が亡くなった後、被相続人に代わって、税務申告を作成する義務を擁します。主に、以下2つの税務申告を作成・提出しなければいけません。

 

Form 1040(所得税の申告)

被相続人が亡くなる日までは、通常の所得税の申告書(Form 1040)を作成します。例えば、本年度の5月30日に被相続人が亡くなった場合、年度末から5月30日までに得た所得、控除等はForm 1040において、申告することになります。

 

Form 1041(相続財産の申告)

被相続人が亡くなった後、故人はForm 1040の対象とならない為、相続財産については「Form 1041」という申告書において申告をすることになります。被相続人が亡くなった後、相続財産から得る、年間$600以上相当になる所得においては、「Form 1041」によって申告することになります。株式、定期預金、不動産収入から得た収入等は、「Form 1041」に申告する義務を擁します。

 

また、被相続人が亡くなった後、故人のソーシャルセキュリティー番号も消滅してしまいますので、「Form 1041」に相続財産を申告する為に、まず個別にEmployer Identification Number(納税番号)を取得する必要があります。

 

 

弁護士、会計士と協力してスムーズに処理を

被相続人が亡くなった後、トラスト、遺言書のいずれかを作成していた場合でも、財産を分配するまでを見届ける作業は大変です。一人で頑張らず、弁護士、会計士の助けを求めてスムーズに処理を遂行することをお勧めします。

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執筆者

本郷法律事務所

本郷 友香 弁護士

ハワイ州とカリフォルニア州、両方の弁護士資格を所有し、信託、遺言書作成、プロベート(検認手続き)等を含むサービスを主に提供する弁護士。過去数年間は日本に在住し、大手米国会計事務所にて法務、会計の分野において、国際的な仕事に携わっていたとともに、多種の文書において豊富な翻訳経験がある。日本語・英語のバイリンガルであり、両言語において、会話と読み書きが堪能。