移民政策 : 不法移民のシェルターである保護区域はどうなる?
2017/03/16
トランプ新政権による大統領令が発令、不法移民保護区域への連邦資金提供を中止に
トランプ政権による移民法改正の一部として、保護区域(サンクチュアリ都市)への連邦資金の打ち切りが述べられています。不法移民に避難所を提供しているコミュニティーから数十億ドルの資金援助を控えることになります。保護区域への資金打ち切りにを開始する大統領令が発令されてからすでに1か月以上たちますが、具体的なアクションはまだ何も取られていません。

アメリカでは、現在約500に上るサンクチュアリ都市が存在します。トランプ氏が大統領に就任してから、多くの州でサンクチュアリ都市の数が増加しました。例えばオハイオ州雇用及び正義政治委員会によると、2017年に入ってから約30市がサンクチュアリ都市とされ、トランプ政権による不法移民の国外追放に対して不法移民を保護する姿勢が取られているということです。また、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、を含む約200の都市や郡が、移民税関捜査局に完全なる協力を提供しないと公然と述べていると推測されています。トランプ氏が、大統領選挙キャンペーン中から述べていたように、実際に「保護区域への資金提供を阻止する」ことになれば、ニューヨークは約100億ドルを失う可能性があります。
大統領令を受けた保護区域各都市の反応はさまざま
本問題は、「保護区域」という用語の定義が欠けていることにより、特に複雑なものとなっています。サンフランシスコ市長のエド・リーは、「保護区域の市であることは私たちのDNAである。サンフランシスコは、保護区域以外の都市には決してならない」とツイートしています。もし実際に連邦資金が打ち切られたら、サンフランシスコは1千万ドルを失うリスクがあります。サンフランシスコ市は、現在、連邦裁判所にて大統領令の差し止め請求を求めています。同様にニューヨーク、およびロスアンゼルスも、連邦地方裁判所にトランプの大統領令に対する裁判を起こしています。

保護区域の中でも、他の都市に比べてより移民税関捜査局に協力している都市もあります。フロリダ州のマイアミは、サンクチュアリ都市のリストから除外する手続きを取っています。マイアミの市長はトランプ氏が大統領令に署名した翌日には、郡の刑務所は不法移民の国外追放において連邦政府へ協力すると述べました。
ワシントンDCのアーバン・インスティテュートのオードリー・シンガー氏は、「連邦政府の助成金によっては州によって管理されるため、どの連邦資金の種類が影響を受けるのかまだわかりません」と述べています。また、多くの保護区域では犯罪者である移民を取り除くために連邦当局に協力しており、連邦政府が最小限の協力レベルを確立できる可能性もある、と考えているようです。
「保護区域」の定義とは? 新政権が直面する様々な抵抗
マサチューセッツ州のソマービル市長によると、「保護区域という言葉は、地元の警察や地方自治体の機関が、住民に対して日常的な移民審査を行わないことを意味する」が、一方で「7万6千人の住民がいる市として、不法移民が重罪犯罪や暴力行為などを行ったときには、連邦移民局に協力する」という立場を取っています。1987年以来保護区域であったソマービルは、年間約600万ドルの連邦資金を受け取っています。これらが、教育、国土安全保障、学校の給食などのプログラムのために使われており、市の年間予算の約3%に相当します。この資金を失うとなると、非常に厳しくはなるが、「コミュニティーの価値を売るわけにはいかない」と市長は述べました。

ソマービル市長と同意見の保護区域は少なくありません。ニューヨーク市長のブラジオ氏も、トランプ氏が、地方警察に連邦移民当局の仕事を引き受けるよう期待しないようにと言っています。実際に地方警察が不法移民を強制送還する動きを取れば、法執行業務に支障が生じ、都市の安全保持が難しくなることも考えられます。多くの都市が、保護区域としてのステータスを守り抜くと言っていますので、トランプ政権が計画実行へ移すには様々な抵抗に対応する必要があるでしょう。
※本コラムは顧客からの質問を一般的なケースに書き換えたものであり、読者への情報提供を目的としたものです。特定事例における法的アドバイスが必要な方は、専門家に相談してください。






