どの様な財産をトラストの中に入れても良いか?

2015/08/14

前回の記事までは、トラストの概要についてお話させて頂きました。今回は、トラストの機能についてお話させて頂きます。

 

トラストの機能 – ファンディング(Funding)プロセス

復習になりますが、アメリカのトラスト(信託)とは、生前にトラスト文書を作成することにより、所有財産をそのトラストの「箱」の中に入れ、その「箱」の中に入れた財産を、任命された管財人(Trustee)が管理するものです。トラストを作成する主な利点は、裁判所のプロベート(検認手続き)を回避することができることです。

 

トラスト文書が作成された後、所有財産をトラストの「箱」の中に入れるプロセスが行われます。これは、“Funding the trust”(「トラストに財産を入れる」)と称されます。ファンディング(Funding)とは、個人名義、またはジョイント(夫婦等)名義にされていた資産を、作成されたトラストの名義に変更する手続きを指します。トラストの「箱」の中に、所有財産の全てを転送させる為、資産を個人名義からトラスト名義に変更する作業が必要なのです。

不動産を例に挙げますと、個人またはジョイント名義にされていた物件の名義を、トラストの名義に変更するためのGrant Deed(譲与証書)を作成・公証し、その不動産の所在する群(例として、カリフォルニア州のロサンゼルス郡)の登記所に提出することによって、トラストの名義に変更し、トラストの「箱」に財産を転送させることができます。

 

 

トラストに入れられる資産

トラストには、色々な資産を入れることができ、以下を含みます。

  • 不動産
  • 株式、債券、投資信託(Mutual fund)等
  • 金融市場預金口座(Money Market Account)、証券口座(Brokerage Account)等
  • 会社(法人、有限会社(LLC)、パートナーシップ等)
  • 知的所有権(特許・著作権等)
  • その他美術品、宝石等を含む動産

 

トラストに入れない資産

以下の資産は、トラストに入れることができない、または入れなくても良い資産を含みます。

  • 年金(IRA、401K、403b等)-これらは、個人が所有されているとみなされる為、トラスト名義に変更した場合、年金を解約されたと判断されることになります。)
  • 生命保険-こちらは、プロベートを通過することなく、生命保険の受取人に渡ります。
  • 銀行口座-こちらは、トラストに入れることもできますが、銀行に直接行き、Payable on Deathというフォームに記入し、受取人を事前に指定することにより、プロベートを回避し、速やかに指定された受取人にお金が渡る様にすることができます。(その場合、トラストに銀行口座は入れなくても良くなります。)
  • 債券、投資信託等を含む金融商品 - こちらもトラストに入れることができますが、金融商品を購入した会社のTransfer on Deathというフォームを記入することにより、受取人を事前に指定することができます。その場合、銀行口座と同様に、プロベートを回避することができ、速やかに指定された受取人にお金が渡る様にすることができます。(その場合、トラストに金融商品等を入れる必要はなくなります。)

 

最後に

トラストを作成される際は、所有資産の全てを書き出し、漏れがないことをチェックすることが大切です。トラストを作成した後も、単に「箱」を作るだけではなく、ファンディング(トラストへの名義変更の手続き)の手続きが完了することを見届けることも大切です。

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執筆者

本郷法律事務所

本郷 友香 弁護士

ハワイ州とカリフォルニア州、両方の弁護士資格を所有し、信託、遺言書作成、プロベート(検認手続き)等を含むサービスを主に提供する弁護士。過去数年間は日本に在住し、大手米国会計事務所にて法務、会計の分野において、国際的な仕事に携わっていたとともに、多種の文書において豊富な翻訳経験がある。日本語・英語のバイリンガルであり、両言語において、会話と読み書きが堪能。